8月2006
8月29日(火)午後のひと時に、どこか懐かしい音色が聞こえてきました。
時は大正時代、世間では「大正デモクラシー」が盛んに唱えられ、建築界では、西洋文化を取り入れた日本特有の建造物などが盛んに造られ始めていたこの頃、音楽界でも新しい旋風が巻き起こっていました。
西洋の模倣ではなく、日本独自の音楽観を探求していた森田吾郎氏は、タイプライターにヒントを得て「大正琴」を誕生させました。
ふるさと~知床旅情~われは海の子~野崎小唄~松原遠く~ここに幸あれ~瀬戸の花嫁~海~風雪ながれ旅・・・・懐かしい音色と懐かしい楽曲の数々。皆さん自然と口ずさみ、涙する人もいました。
演奏は「ローズマリー」という名前の3姉妹グループ。ボランティアなのですが、はるばる遠くからいらしてくださいました。当施設のほか、いろいろな施設の慰問をされているそうです。
3人の奏でる3重奏は、音に深みがあり心の奥底まで響いてくる感じでした。とてもすばらしい演奏をありがとうございました。またぜひいらしてください。
家族会が本格的に始まって2年以上経ちました。
高齢者介護を担う方々を中心に、ご家族同士の交流会や専門の職員による勉強会を催しています。
今回は、ご家族同士の交流会をメインに設定し、3つの集団に分けて話し合いが進められました。それぞれのご家族が抱える問題は多種多様。問題解決の答えは出ないのですが、同じような問題を、それぞれが考える方法で日々奮闘していることを話し合うことで、自分では考えもしなかった新しい方法を見出したり、共感できたりすることが、何よりも参加者の皆さんの気持ちにプラスに働いていくのです。
2ヶ月に1回の割合で開催していきます。登録制にして、より綿密に情報交換の場が提供できるようにしてあります。
ご興味がある方はぜひ。
8月18日、台風一過で空が晴れ渡って気持ち良かったので、吉祥寺にある大学時代の友人N氏の古雑貨店(昭和30年代のおもちゃやレア商品などガラクタを扱っている)に足を伸ばしました。
無精ひげが良く似合う太面のN氏はアルバイト店員に店を任せると、私を奥の座敷に案内してくれました。
薄暗い廊下の壁には「東京タワー落成記念パレード」のポスター。6畳の部屋には昭和の香り漂う衣装ダンスが鎮座し、古びたガラスケースの中には年代ごとに並べられたセルロイド製の人形が、真空管のネオンに照らされてノスタルジックな雰囲気を醸し出していました。奥の台所から彼が風呂敷包みを手に戻ってきました。
ちゃぶ台に出されたのは、ラムネと数冊のボロボロの本。
よく見ると、そこには「尋常小学讀本」の文字が・・・。
ゆっくりとページを開いてみるとまず第一章に天皇陛下の記述があります。
右寄りのその文面は、当時の教育思想を物語っています。
第四章が、今話題の靖国神社についての記載。祖国のために戦った戦没者が奉られていることが書かれています。
N氏との昔話をそっちのけで資料を読みふけっていました。
ひぐらしの蝉の声が日の傾きを知らせてくれました。
高齢者デイケアの回想療法に丁度良い資料だったので、懐かしいラムネの空き瓶と一緒にその貴重な資料をもらって帰りました。N氏のご好意に感謝です。
毎週木曜日午前10時30分から11時まで、回想療法を担当する3人です。左から作業療法士の滝、心理士の和田、心理アシスタントの新井です。
1期を8回程度で行います。今回が第3期目。
まずはじめに皆さんで自己紹介をします。最初は「回想療法ってなんだろう」って不安顔でしたが、あっという間に心理士和田の魔法で笑顔が満ちてきます。
その後は、「会」の名前を考えます。夏にちなんだ言葉で思い浮かべるものは・・て具合で進んでいきます。風鈴・打ち水・西瓜・うちわ・花火・・・などなどいろいろと出てきました。
そして最後に「もろこし」の言葉。それぞれの人に思い描く映像があります。子供の頃、母親に作ってもらったこと、七輪で炙って焼いたこと、縁日で父親に買ってもらい食べたこと、疎開先でみんなで食べたこと・・様々な情景が蘇ってきます。そのときの自分は、家族は、時代はこうだった・・・忘れかけていたことが次々に浮かんで来てはそれを言葉にして表現していきます。
「もろこしの会」の由来は、会の様子が粒が集まった「もろこし」に似ていたこと。みんな粒ぞろいだったのかもしれませんね。