回想療法 木曜「もろこし会」 (心理士和田編)

毎週木曜日午前10時30分から11時まで、回想療法を担当する3人です。左から作業療法士の滝、心理士の和田、心理アシスタントの新井です。
1期を8回程度で行います。今回が第3期目。
まずはじめに皆さんで自己紹介をします。最初は「回想療法ってなんだろう」って不安顔でしたが、あっという間に心理士和田の魔法で笑顔が満ちてきます。
その後は、「会」の名前を考えます。夏にちなんだ言葉で思い浮かべるものは・・て具合で進んでいきます。風鈴・打ち水・西瓜・うちわ・花火・・・などなどいろいろと出てきました。
そして最後に「もろこし」の言葉。それぞれの人に思い描く映像があります。子供の頃、母親に作ってもらったこと、七輪で炙って焼いたこと、縁日で父親に買ってもらい食べたこと、疎開先でみんなで食べたこと・・様々な情景が蘇ってきます。そのときの自分は、家族は、時代はこうだった・・・忘れかけていたことが次々に浮かんで来てはそれを言葉にして表現していきます。
「もろこしの会」の由来は、会の様子が粒が集まった「もろこし」に似ていたこと。みんな粒ぞろいだったのかもしれませんね。

いろいろな作品集です。

皆様が手先を使って器用に作り上げていきます。
上段は定番の「だんご絵」。指先で花紙を小さく丸めて、いろいろな色のだんごを作っていきます。そのだんごを使って、好きな絵を仕上げます。指先からの刺激が脳を活性化!!そして出来上がった作品を鑑賞して満足感と達成感を味わえます。心身ともに活力を呼び起こします。
このほかにもたくさんの作品を作ります。回想療法的作品である「竹とんぼ」「こま」「ゴム鉄砲」など、また最近では「ケータイストラップ」「ビーズアクセサリー」も人気です。フォトスタンド、編み物・・・お孫さんへのプレゼントを作るんだっていつも張り切って作っています。

書道教室の時間 (毎週水曜日の午後)

作業療法士の加藤(写真下)です。デイケアでの書道の効果を紹介します。
書道の先生をお招きして、毎週1回水曜日に実施しています。評価は、理解・技術・鑑賞・姿勢の全般に渡って、そのひと個人の状態(レベル)にあわせて行います。
基本的には、気分転換・上肢機能の向上・集中力を高める効果を期待しています。

アニマルセラピー効果があるんです。

高齢者デイケア内で、金魚・めだか・えび・かめ(銭亀)・クワガタ・カブト虫を飼っています。
皆さんのお出迎えは彼らの仕事のひとつです。

フェイスエステもやっています。

毎週水曜日の午後13時から2時間、専門のフェイスエステや顔そり、眉カットをやっています。とても大好評で、それを目当てに来所される方も・・・。
本当に気持ちよいです。

太極拳と音楽療法

太極拳の動きは、精神状態の安定を促していきます。ゆったりとした動きは、衰えがちの筋力もアップさせていきます。・・・便通も良くなるそうです。
音楽療法は、発声による活力の増大の役割に加えて、回想療法的な手法を取り入れています。昔懐かしい歌は、その時代を映し出すことができます。その時々に体験した記憶をよみがえらせて、記憶を司る脳への刺激的な役目も担っています。

リハビリ訓練の様子をちょこっと紹介します(上段2つは動画です。クリックしてみてください!!)



回想療法 金曜ほたる会(psw斉藤編)

毎週金曜日の回想法を担当している斉藤です。
毎回、皆様のいろいろな当時のお話をお聞きすることができ、また皆さんの違った一面が見れることもあるので、私も毎回楽しみに行っています

今回は、6名ではじめました。まず最初に会の名前をみんなで考えていきます。様々な候補が挙がりましたが、「ほたる会」に決定!!8回程度をこのメンバーで運営していきます。

7月はイベント盛りだくさんでした。

7月12日は、みやび会様による「日本舞踊」を披露して頂きました。

7月13日は、リコーダーグループ「カンタービレ」による演奏会を披露していただきました。

7月24日は、バイオリン・フルート・ピアノによるミニ演奏会を披露。

学習療法の効果

今回、高齢者デイケアで実施している学習療法についてクローズアップしてみました。
当デイケアでは、音読と計算を中心とする教材を用いた学習を行っています。学習者の認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能など前頭前野機能の維持・改善を図る目的があります。
実施期間:平成18年6月3日から1ヶ月間
対象者:K様(アルコール依存・コルサコフ症候群)、H様(老年期痴呆)、O様(アルツハイマー型痴呆)
実施頻度:週2から3回の30分間
効果測定:長谷川式、記述式記録
K様の変化
開始前:HDS-R 15点(数字の逆唱0点、言語の流暢性2点)
常に傾眠状態で、フロア内でのスタッフとのコミュニケーションとりづらく、また発語機会も少ない。
1ヵ月後:HDS-R 17点(数字の逆唱2点、言語の流暢性5点)
傾眠状態はほとんど変わらないが、学習療法を通してのコミュニケーションの機会が増えた。スタッフ等から誉められる経験も増えた。
H様の変化
開始前:HDS-R 11点(日時と場所の見当識1点、物品記銘2点、言語の流暢性1点)
デイケアに対するモチベーションが低く、欠席することがしばしば見受けられた。他者とのコミュニケーションでは、やや一方的で同じことを繰り返す傾向にある。
1ヵ月後:HDS-R 18点(日時と場所の見当識3点、物品記銘4点、言語の流暢性3点)
テストでは、問題掲示してから回答するまでの時間が短縮された。デイケアに休みなく参加し、学習療法に対する意欲が高く、他活動に対しても前向きになる。他者とのコミュニケーションでは、会話の幅が広がる。
O様の変化
開始前:HDS-R 15点(言語の流暢性0点)
意欲的に様々な活動に参加し、コミュニケーションも良好である。
1ヵ月後:HDS-R 18点(言語の流暢性5点)
前回の学習療法で実施したこと自体は忘れているが、学習療法後は、毎回満足した表情である。
まとめ
1ヶ月という短い期間であったにもかかわらず、対象者全員にHDS-Rの向上が見られた。特に言語の流暢性は共通して上昇しており、音読書字を行ったことで、言語的な認知の改善が見られたと考えられる。
また、マン・ツー・マンでの学習療法を通して、誉められる体験により自己について肯定的な感情を得られたようである。さらに、過去のエピソードを語ることで、回想療法的な効果もあり、結果、他者とのコミュニケーションの幅が広がってきたものと思われる。
学習療法は、1対1で行われるため、「自分だけの特別な時間」という認識をすることで自己開示がしやすく、集団の中では得られづらい満足感を体験できたと見られる。
結果として、学習療法はデイケアに対するモチベーションの向上と、コミュニケーション能力を中心とする認知機能の改善につながったのてせはないだろうか。
実地担当:作業療法士 滝・青木・近藤