躁うつ病

双極性障害(躁うつ病)について

双極性障害(躁うつ病)では、うつ病の様に憂鬱で意欲がない状態とハイテンションで活動的な躁状態を繰り返します。
躁状態では、活動的で気分もよく、寝なくても活動できる状態ですが、こうした活動的に行動できる状態から本人に病気であるという自覚がない場合も多く見られます。
しかし、本人あるいはご家族、職場の人など身近な人から「いつもと違う」と思われる、社会的に問題となるようでしたら、双極性障害(躁うつ病)を疑い、一度専門の医師による検査・治療を受けられることをお勧めします。
躁うつ病は非常に再発率の高い疾患とされています。また、うつ状態と躁状態の繰り返しは、放置することで徐々に再発の周期が短くなり、社会生活としてもたらされる支障も大きくなってしまう傾向にあります。何か異変に気付かれましたら、お早めに当院までご相談ください。

双極性障害の原因

双極性障害の原因として、明確なことは解明されていませんが、遺伝的な要因と神経伝達物質のバランスが崩れることが考えられています。

双極性障害の症状

うつ状態で見られる症状

  • 今まで楽しめていたものが楽しめない
  • 意欲がない
  • 眠れなくなる(不眠)
  • 食欲がない(食欲低下)
  • 体重が減った(体重減少)
  • 頭痛がある
  • 肩こりがひどくなった
  • 倦怠感がある
  • すぐに疲れる(易疲労性)
  • いつも気分が落ち込んでいる
  • 性欲がない
  • 動悸がする
  • 息苦しさがある
  • 便秘になった
  • 下痢になった
  • 不安がある
  • とにかく焦りを感じる
  • 集中力がない
  • 死にたくなる
  • 自分が価値のない人間だと思い自分を責めてしまう

など

躁状態で見られる症状

  • 注意散漫になる
  • 寝なくても活動的(行動的)である
  • ギャンブルや買い物に多額をつぎ込む
  • 友人などに電話をかけまくる
  • 怒りっぽくなる
  • 大声で話し続ける
  • 次々にアイディアが出てくる
  • 物事を最後までやりきることができない
  • 根拠のない自信に満ち溢れる
  • 過大に自分は偉大な存在だと思っている

など

双極性障害の分類

双極性障害は、「双極Ⅰ型障害」と「双極Ⅱ型障害」の大きく2つに分類できます。双極Ⅰ型障害では、日常生活の中においても大きな支障を来すほどの激しい躁状態が見られ、入院治療が必要となります。一方、双極Ⅱ型障害では、Ⅰ型ほど激しくないものの通常より高いテンションが継続し、軽い躁状態が見られる状態です。それぞれの時期に応じた適切な治療があります。まずはお気軽にご相談ください。

双極性障害の治療

双極性障害の治療は、薬物療法と心理療法を中心に行っていきます。うつ状態や躁状態の回数や程度などを減らし、気分の安定した期間をより長く保ち、社会生活を障害なく送っていただける状態を目指し、治療を行っていきます。

薬物療法

双極性障害の薬物療法としては、下記のようなお薬を使用していきます。

気分安定薬

気分の浮き沈みを最小限にするために服用します。代表的な薬に、バルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン)や炭酸リチウム(商品名:リーマス)、カルバマゼピン(商品名:テグレトール)、ラモトリギン(商品名:ラミクタール)があります。これらの薬の中には、効果が期待できる一方、重篤な副作用が生じやすい薬剤もあります。主治医と相談して、服用を開始し、何か気になることがありましたらいつでも相談できる環境を整えることが大切です。

抗精神病薬

双極性障害において、気分を安定化させる効果を期待されている薬です。代表的な薬に、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)やオランザピン(商品名:ジプレキサ)、クエチアピン(商品名:セロクエル、徐放製剤商品名:ビプレッソ)、ルラシドン(商品名:ラツーダ)があります。躁状態に効果を発揮するもの、うつ状態に効果を発揮するもの、または予防に効果を発揮するものなど、薬の種類により特性が異なりますので、患者様の状態に応じて使用していきます。

心理療法

双極性障害では、心理療法により症状の緩和が期待できる一方、心理療法のみで治療を行うことが難しい現状があります。心理療法は、薬物療法を主体としつつ、その効果を最大限発揮するために補助的に行うことがあります。当院でも、認知行動療法をはじめとした心理療法を専門的に行えるスタッフが多数在籍しております。お気軽にご相談ください。

修正型電気けいれん療法(mECT)

薬物療法で効果を確認できない、あるいは自殺の危険性が切迫している、食事がとれないなどの緊急を要する場面において、迅速な治療効果のある修正型電気けいれん療法(mECT)を行うことがあります。電気痙攣療法では、頭部に電流を流し、脳波ではてんかん発作が起きているような状態にしていきます。麻酔科医による慎重な判断も有する治療法になります。当院でも、経験豊富な専門スタッフにより電気痙攣療法を行っております。お気軽にご相談ください。

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