摂食障害

摂食障害について

摂食障害では、体重や体型、食事に対して過剰な反応が見られます。他者からの評価と患者様自身が感じている自己評価に解離が見えることも特徴です。食べ過ぎてしまうものから、食べなさ過ぎるもの、あるいはこれらを交互に繰り返すものまで、摂食障害は6つの種類に分けられます。男女で比較すると女性が圧倒的に多いことも特徴です。過食と拒食という一見相反するように見える状態ですが、根本にある要因を解決しない限り、過食と拒食を交互に繰り返してしまうことがあります。心だけでなく、身体の治療が必要になる場合も多く、専門的な知識を有する医師のもと、早期に適切な治療を始めることが重要です。

摂食障害の原因

摂食障害は、決まった原因があるわけでなく、心理的な要因から周囲との関係まで様々なことが挙げられます。しかし、外見(容姿)に何らかの偏った見方をすること、ダイエットは影響を与えやすいとされています。
従来は、女性に多い疾患でしたが、近年では男性の比率も徐々に上昇してきています。痩せている・スマートなことが美しい・カッコ良い・スタイルが良いという先入観から無理なダイエットを試み、その結果、摂食障害につながると考えられています。
また、ダイエットのほかには、試験(受験)や仕事などで失敗を重ねることで自分に自信をなくすこと、ストレスも摂食障害の発症に影響を与えていると考えられています。

摂食障害の種類

拒食症(神経性やせ症)

実際には理想的な体型にあるにもかかわらず、自分は太っている、見づらい体型をしていると感じてしまうことから、体重が増えることに恐怖を覚え、極端な食事制限をする、あるいは食事後に吐き出してしまう状態です。
理想が高い、完璧主義な女性に多く見られることも特徴です。
極端に痩せることで、筋力の低下や易疲労感(疲れやすい)、低血圧、低体温、心拍数の低下(徐脈)、無月経、便秘、皮膚の乾燥、下肢のむくみ、手足が黄色くなる(黄疸)、産毛が濃くなるといった症状があらわれます。

過食症(神経性過食症)

飲食(摂食)を適切にコントロールできなくなり、過剰な量・頻度の摂食をする状態です。自分の意思で過食を止めることが困難であり、通常より速い速度で摂食し、一気に食べることも特徴です。また、空腹感に基づいて摂食するわけでなく、空腹を感じていなくても接触してしまうことも特徴として挙げられます。
過剰な摂食をしたことは、後に抑うつ状態や自己嫌悪感、強い罪責感につながってしまうこともあります。そのため、過食後に代償行動として、意図的な嘔吐や過度な運動を行うこともあります。こうした代償行動により過食を繰り返すが、体重は適正体重ということもあるため、注意が必要です。

過食性障害

肥満や体重の多い方に多く見られる疾患です。大量の飲食を短時間に摂取します。過食症と異なり、摂取したものを吐き出す(嘔吐)行為が見られないことが特徴です。

神経性過食症と過食性障害の違い

神経性過食症と過食性障害に関して、名称は似ていますが、症状や治療が異なります。神経性過食症に関しては、食べ過ぎた後に埋め合わせ行動と言われる意図的な嘔吐や下剤の服用が見られるのに対し、過食性障害にはこうした埋め合わせ行動が見られないという特徴があります。

回避・制限性食物摂取症

特定の食べ物の摂取を避ける、あるいはごく少量の食べ物のみを摂取したりするようになります。大幅な体重減少が見られ、子どもでは成長の遅れが見られることもあります。通常の社会生活を送ることが困難になるほどの栄養不良に陥ることもあり、注意が必要です。

異食症

本来食べることのない虫や氷、土、爪などを繰り返し食べるという特徴があります。また、同じ食べ物を繰り返し食べる、飲むなど偏った飲食が見られます。1か月以上、こうした症状が見られる場合に異食症と診断します。

反芻(はんすう)症

飲み込んだものが口お腹に逆流する症状が見られます。神経性の胃障害により発症することが多く、逆流を意図的に行っていることもあります。逆流したものに関しては、吐き出すこともあれば、再度飲み込むこともあります。ネグレクトやストレスの多い生活環境で起こりやすいとされています。

摂食障害の症状

体重に関するサイン

  • 太ったり痩せたりを繰り返す
  • 急激に体重が減少する
  • 痩せていても「太っている」といった言動を繰り返す
  • 1日に何度も体重計に乗る
  • 体重が増えることを極度に恐れる
  • 体型を隠すために大きめのサイズの洋服を着る

など

食事に関するサイン

  • 食に対する強いこだわりがある
  • 買い物あるいは食事の際にカロリー表示を過剰に気にする
  • 食べる量が減少した
  • 食べ物を飲み込まずに吐き出す
  • 食べ物をゴミ箱やトイレ、流しに捨てる
  • 食べていないにもかかわらず「食べている」「お腹が空いていない」などと言う
  • カロリー計算を厳格にする
  • カロリーの低いものを中心に食べ、カロリーの高いものを摂取しなくなる

など

過食のサイン

  • 食べ物を万引きするようになった
  • 大量の食べ物を自分の部屋に隠す
  • 食べだすと止まらなくなる
  • 大量の食べ物が短期間でなくなる

など

排出行動のサイン

  • トイレなどで嘔吐した形跡がある
  • 食後、何度もトイレに行く
  • 手の甲に「たこ」がある(吐きダコ)
  • 虫歯や歯槽膿漏、歯の変色などが見られる

など

摂食障害の検査・診断

摂食障害に関して、現在のところ断定できる検査はありません。そのため、問診を丁寧に行い、生活歴や療育歴のほか、食行動に関してお伺いしていきます。また、身体機能の状態を確認するために血液検査を行うこともあります。

摂食障害の治療

摂食障害の治療としては、薬物療法や認知行動療法を中心とした心理療法を行っていきます。また、体重があまりに平均を下回り、生命の危機に陥っている場合、入院による治療を行うこともあります。摂食障害として食行動だけを見るのではなく、抑うつ症状など、摂食障害とともに生じている症状や環境にも目を向けた治療を行っていきます。

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