全般性不安症について
全般性不安症は、慢性的に漠然とした不安に襲われる病気です。精神的にショックを受けるなど何らかのストレスが原因と考えられていますが、日常のあらゆる場面が原因になります。そのため、気づいたら発症しているということも多くあります。専門の医師に適切な治療を受けることで改善します。お早めに当院までご相談ください。
全般性不安症の原因
精神的にショックを受けるなど何らかのストレスが原因になると考えられています。しかし、仕事や家庭などにおいて思い当たるストレスがない場合も、過眠や睡眠不足などから発症する場合があります。気づいたら発症しているということも多い病気のひとつです。
全般性不安症の症状
- 頭痛
- めまい
- 落ち着かない(そわそわする)
- 自分の身体ではない感じ(解離症状)
- 手足の冷え
- 手足の熱感
- 動悸
- 便秘
- 頻尿
- イライラする
- 怒りっぽい
- とにかく不安に襲われる
- 注意力が落ちた
- 記憶力が下がった
- 小さなことが気になる
- 人に合うのが面倒になる
- なかなか寝付けない
- 途中で目を覚ます
など
全般性不安症の検査・診断
全般性不安症の検査としては、問診をはじめ患者様の生活環境をお聞きすることを重視します。また、他の疾患が原因となることもあるため、血液検査など全身状態の把握に努めます。他の疾患を除外した上で、問診などから生い立ちや家庭環境、生活環境に原因が認められた場合、診断をくだします。
全般性不安症の治療
全般性不安症の治療としては、薬物療法や認知行動療法などが挙げられます。認知行動療法とは、患者様のなかにある歪んだ認知(思考・考え方)に気づき、問題解決に向かう行動をしていくという心理療法です。
パニック症について
パニック症とは、突然めまいや動悸、吐き気、手足の震え、発汗といったパニック発作を起こし、生活に支障を生じてしまう疾患です。パニック発作により激しい息苦しさを感じ、緊急性を要する疾患の様に救急車で病院へ運ばれ、様々な検査をした結果、何も異常が見つからないということもあります。患者様本人としては、心筋梗塞のような命の危険にかかわるような疾患、症状だと強い恐怖に襲われます。周囲の方からすると、何も異常が無くて良かった、あるいは怠慢ではないかと感じてしまうかもしれませんが、患者様がとてつもない恐怖に襲われているということを知り、寄り添う姿勢が大切になります。また、パニック発作の起きたときだけでなく、患者様は日常的に発作が起きるのではないかという不安(予期不安)に襲われていることも知ることが大切です。エレベーターや電車など、閉ざされた空間、「逃げられない」と感じる場所において、避けるようになることもあります。専門の医師による検査や治療を受けることが大切です。当院までお気軽にご相談ください。
パニック症の原因
パニック症の原因は、未だ明らかになっていません。しかし、脳内にある神経伝達物質である「ノルアドレナリン」や「セロトニン」が何らかの影響を受けると考えられています。また、ストレスなど心理的な原因や免疫力の低下、脳へ何らかの障害がある、このような場合もパニック症の原因になり得ると考えられています。男女比では、女性の多いということも特徴です。遺伝する疾患ではありませんが、ご家族にパニック症を罹患している方がいる場合は、そうでない場合と比較してパニック症になる危険性が高いとされています。
パニック症の症状
- 息ができないような感じがする(息苦しい)
- 胸が痛い(胸痛)
- 息が早くなった感じがする
- 心臓がドキドキする(動悸)
- 冷や汗が出る
- 手足が震える
- めまいがする
- 身体がふわふわと浮いた感じがする(めまい)
- 吐き気がする
- このまま死んでしまうのではないかと不安になる
- 発作が起きそうで怖い
など
予期不安
パニック発作は、患者様としては命の危機を感じるほど恐ろしいものです。この恐ろしい体験をした患者様は、また起きたらどうしよう、発作が起きそうなど、実際には今発作が起きていないにもかかわらず、発作に対する恐怖や不安を抱くようになります。このような状態を予期不安といい、こうした不安は、広い場所、大勢がいる場所で起きやすい傾向があります。予期不安の状態が継続することで、うつ状態など精神的にさらに状態が悪化することもあります。メンタルが弱いから、我慢すれば大丈夫と思わずに、予期不安がありましたら、適切な治療を受けることをお勧めしています。
広場恐怖
予期不安がある場合、さらに悪化して自分がパニック発作を起こした場所に恐怖感を抱く場合があります。これを広場恐怖と言います。広場恐怖により、以前発作を起こした場所を避けるようになり、外出が困難に、引きこもりへと発展してしまう場合があります。患者様ご自身あるいはご家族が何らかの異常に気付きましたら、お早めに当院までご相談ください。
パニック症の検査・診断
国際的な精神医療の診断指標であるICD-11に基づき、検査や診断など行っていきます。医師による問診を中心に、身体的な疾患の有無を検査するため、心電図やレントゲン検査、超音波検査、血液検査なども行っていきます。パニック症は、身体疾患やうつ病など他の精神疾患が隠れている場合もあるため様々な検査を行い、診断します。
パニック症の治療
パニック症の治療は、薬物療法と心理療法を中心に行っていきます。薬物療法では、うつ病の治療に使用される抗うつ薬を服用することが多く、抗不安薬と呼ばれる薬によりパニック発作や予期不安による不安の改善を目指します。また、心理療法としては、認知行動療法を行います。医師とカウンセラーが連携を図り、パニック発作につながる不安を和らげる思考・行動を患者様と一緒に考えていきます。
社交不安症について
社交不安症とは、ある特定の状況あるいは人前で何かをするとき、極度の緊張から恐怖や不安感が高まり、次第にその状況(場面)を避け、社会生活に支障を来す疾患です。日本でも患者数が多く、10代半ばから20代前半にかけて発症することの多い疾患です。専門の医師による適切な治療を受けず我慢・放置することで、うつ病を発症してしまうこともあります。お早めに当院までご相談ください。
社交不安症の原因
社交不安症の原因は、未だ解明されていません。しかし、脳内の神経伝達物質であるセロトニンや偏桃体と呼ばれる脳の部分が何らかの影響を与えていると考えられています。一部では遺伝的な要因も考えられていますが、根拠となることは見つかっておりません。なお、過去に人前で恥ずかしい思いをした経験が発症に影響することも示唆されています。
社交不安症の症状
- 大勢の前で発言することができない
- 人前に出ると過剰な緊張をしてしまう
- 人前で顔が赤くなる
- 緊張による異常なほどの発汗がある
- 自分に対する他者からの評価に強い不安を感じる
- 周囲の視線が気になる
- 電話をすることに対して強い不安や恐怖を感じる
- 人前で文字を書こうとすると手が震える
など
社交不安症の検査・診断
社交不安症の検査・診断としては、専門スタッフによる問診・面接が行われます。重症度に関しては、LSASと呼ばれる評価尺度を使用することもあります。
また、社交不安症の症状の一部である発汗や動悸、震えなどは甲状腺機能亢進症の症状とよく似ていることから血液検査などにより、こうした疾患を除外することも重要です。
社交不安症の治療
社交不安症の治療としては、薬物療法と心理療法を行っていきます。
薬物療法では、SSRIと呼ばれる抗うつ薬の使用が一般的であり、SSRIにより精神の安定を担うセロトニンのバランスを整えていきます。社交不安症の治療として、抗不安薬を使用する場合もありますが、依存性が見られることもあるため、不安や恐怖、緊張を和らげるためにSSRIの使用が主流となっています。ただし、SSRIは2週間から8週間程度かけ徐々に症状を和らげる薬であるため、即効性が求められる場合では抗不安薬を使用する場合もあります。
一方、心理療法としては、認知行動療法を行っていきます。認知行動療法では、極度の緊張から不安や恐怖を感じ逃げ出してしまう(避けてしまう)場面に関して、思考のパターンを変えることで回避行動を軽減することを目的にしています。
強迫症について
強迫性症は、日常生活に支障が出るほど強いこだわりや不安が生じる疾患です。代表的な症状としては、細菌が気になり何度も繰り返し手を洗う、玄関などのカギの欠け忘れを心配し何度も家に戻ってしまうといったものがあります。強迫症でなくても気になる、心配になるという方はいますが、明らかに度を越したこだわりや不安があることが特徴です。うつ病をはじめ、他の精神障害を併発することもあります。気になることがありましたら、お早めに当院までご相談ください。
強迫症の原因
強迫症の原因は、未だ明らかに解明されていません。しかし、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの異常や前頭葉の血流障害があると考えられています。
強迫症の症状
安全に関すること
- 家を出る時に鍵をかけたか心配になり何度も家に戻る
- 自分の行為が安全なことか疑問を抱き、確認しなければ気が済まなくなる
- ストーブやコンロの火の消し忘れが心配になり、何度も家に戻り確認する
など
汚染に関すること
- トイレに行った後、細菌が気になり何度も手を洗う
- 電車のつり革や手すりを触った後、菌に汚染されたのではないか心配になる
- 細菌が気になり長時間あるいは繰り返しお風呂に入る
など
他人を傷つける行為に関すること
- 車の運転中、人など何か引いてしまったのではないか不安になり戻って確認する
- 自分の行為が誰かを傷つけてしまっているのではないか不安になる
など
数字や順序に関すること
- 服を着る時は毎回同じ順序で行わないと不安になる
- 物事を行う順序が気になり、いつもと異なる順序で行ってしまうと最初からやり直す
- 特定の数字を不吉に感じ、その数字を避けた行動をする
- 左右対称でないと気が済まない
など
強迫症の検査・診断
強迫症の検査・診断としては、問診が中心となります。問診では、症状をお聞きするとともに、既往歴や患者様の生活環境、ご家族の既往歴などに関してもお聞きしていきます。また、てんかんや脳炎といった身体疾患が隠れていないかCTなどの検査を行うこともあります。当院では、必要に応じて高度医療機関をご紹介させていただきます。
強迫症の治療
強迫症の治療としては、薬物療法と心理療法が中心となります。薬物療法では、強迫症状とともにある抑うつや強い不安感が見られることもあるため、必要に応じて抗うつ薬を使用します。心理療法は、薬物療法などにより症状の安定した方に行い、主に認知行動療法を中心に行っていきます。当院では、認知行動療法に関して、経験豊富なスタッフが多数在籍しています。安心してご受診ください。