クロザピン

クロザピン(唯一の治療抵抗性統合失調症治療薬)について

クロザピンについて複数の抗精神病薬を十分な量、一定期間適切に使用したものの症状の改善がみられない統合失調症の方、また副作用のために抗精神病薬による薬物療法が継続できない方は治療抵抗性統合失調症と診断されます。治療抵抗性統合失調症の患者様に対して、唯一の治療として適応されているのがクロザピンになります。クロザピンは、ドーパミンの働きをブロックし、陽性症状を改善させます。特に、衝動性や他害リスクを減少させ、自殺の予防効果に大変優れているお薬です。長期入院を余儀なくされていたが、退院して自宅での社会生活を送れるようになった、仕事やデイケアに通えるようになった、多飲水が改善したなどのより良い状態へ改善した患者様も多くいらっしゃいます。クロザピンは高い効果が期待される一方で、副作用にも留意する必要性がありますので、定期的に血液検査を受けていただき効果とともに副作用の確認を行うことが必須となります。当院でも、安全・安心した環境でクロザピン治療を行うための経験と知識を持った医師が多数在籍しております。ガイドラインに従い、慎重に治療を進めて参りますので、安心してご受診ください。

統合失調症について

統合失調症は、統合失調症や統合失調症に関連する障害を一連の疾患として、「統合失調症スペクトラム」と呼びます。考えや気持ちにまとまりがない、妄想、幻覚が見られる疾患であり、以前は「精神分裂病」と呼ばれていた疾患になります。100人に1人程度の割合でかかる疾患であり、決して珍しい疾患ではありません。統合失調症患者は、日本の精神科長期入院の約7割を占めるとされ、短期的な治療で高い改善効果を上げることが喫緊の課題となっています。薬適切な治療を行うことで疾患と向き合いながら仕事や学校などを含めた日常生活を送っていただくことができます。お気軽にご相談ください。

治療抵抗性統合失調症について

治療抵抗性統合失調症とは、複数の抗精神病薬を十分な量、一定期間適切に使用したものの症状の改善がみられない統合失調症を指します。また、副作用のために抗精神病薬など統合失調症で用いられる薬物療法が継続できない場合を指します。
現在、治療抵抗性統合失調症の患者様に対して、唯一の治療として適応されているのがクロザピンになります。当院では、クロザピンに関して専門的な知識と経験を積んだ医師が対応に当たっています。患者様からのご相談、医療機関様からのご紹介、ともに積極的に受け入れております。お気軽にご相談ください。

クロザピンに期待できること

クロザピンを内服することで下記のような効果が期待できます。

  • 引きこもりの状態から抜け出せた
  • デイケアに通えるようになった
  • 過度な飲水が軽快した
  • 幻覚の改善
  • 妄想の改善
  • 攻撃性の改善
  • 暴力行為の減少
  • 認知機能の改善
  • 統合失調症の再発率の低さ

など

クロザピンをお勧めする人

  • 統合失調症による幻覚・妄想・興奮(陽性症状)が改善しない方
  • 統合失調症による無気力・無関心(陰性症状)が改善しない方
  • 統合失調症による症状・行動(水を多量に摂取する・自傷行為をする・暴力をふるう)に問題がある方
  • 処方された薬を適切に服用できない方
  • 再発や再入院を繰り返す方
  • これまでの薬物療法で改善がみられない方

など

クロザピンのメリット

クロザピンを使用することで、下記の点がメリットとして挙げられます。

  • 自殺願望が改善した
  • 衝動性が改善した
  • 幻覚妄想状態が軽快した
  • 多飲水が改善した
  • 仕事ができるようになった
  • デイケアに通えるようになった
  • 抗精神病薬の多剤併用がなくなった
  • 薬の量が減った
  • 管理(服薬)がしやすくなった

など

クロザピンの注意点

クロザピン内服に関しては、統合失調症の症状改善が期待できる一方、副作用も懸念されています。代表的な副作用は下記の通りです。

  • けいれん
  • 高血糖(糖尿病)
  • 白血球減少(顆粒球減少症)
  • 心筋炎
  • 便秘
  • 発熱
  • よだれが多く出る
  • 体重増加
  • 腸閉塞
  • 起立性低血圧
  • 湿疹
  • 悪性症候群
  • 劇症肝炎
  • 胸膜炎

など

※「無顆粒球症」など重篤な副作用の報告もあるため、クロザピンの開始にあたっては、専門の講習を履修した医師による治療、およびシステム(CPMS)への登録、第3者機関に血液検査の結果を報告することが義務付けられています。

クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)について

クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)についてクロザリル(クロザピン)を製造しているノバルティスファーマ株式会社が設置している安全管理を行うサービスになります。クロザリルを服用している患者様は、全員このCPMSに登録することになります。服用していただく際には、定期的な血液検査が必要となり、血液検査の結果もすべてCPMSに送信されることになります。また、クロザリルを使用した治療を行える医療機関もCPMSへの登録が必要となり、認定された施設のみクロザリルを使用した治療を行えます。当院でも、CPMSによる認定を受け、クロザリルを使用した治療を行っていただけますので、安心してご受診ください。
なお、クロザリルを使用した治療に関しては、施設だけでなくCPMSによる審査を通過した医師のみが治療を行えるという特徴があります。審査には、クロザリルの製品情報だけでなく、緊急時の対処法など様々な知識を持つことが求められております。当院では、講習を受講・履修し、登録を受けた医師が10名在籍しております。

治療を希望される患者様へ

クロザピンの治療には、入院加療が必要となります。通常は26週間の入院が必要で、その後は2週間に1回の通院治療が必要になります。頻回な通院のため、ご家族の協力も必要です。
クロザピンを使用してみたい、クロザピンが適応するのか知りたい、ご家族にクロザピン治療を通して症状を改善してほしい、など、このようなお悩みがございましたら、主治医の医師までご相談ください。当院で治療中の患者様をはじめ、他院にて治療中の方の受診も受け付けております。紹介状(診療情報提供書)をお持ちいただき、ご受診ください。
なお、初回受診時には、患者様の同席なし、ご家族のみのご来院でも構いません。まずは、電話(0480-23-6540)にてご予約をお願い致します。

医療関係者の方へ

現在、貴院にて治療中の患者様でクロザピン治療を検討されている患者様がいらっしゃいましたら、お気軽に当院までご相談ください。地域連携室を通して患者様を紹介してくださいますと幸いです。クロザピン治療を通して、状態が安定した患者様は、貴院がCPMS通院医療機関である場合は、原則として紹介していただいた医療機関に戻って継続的な治療を行っていただきます。貴院がCPMS通院医療機関でない場合には、当院の外来にて継続的な治療を行っていきます。お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

クロザリルの服用を忘れてしまいました。2回分服用したほうが良いでしょうか?

次の服用まで時間のない時は忘れてしまった分の服用はせず、次に決められた時間に所定の量だけ服用してください。次の服用まで時間がある時は、忘れてしまった分をすぐに服用してください。なお、原則として2日間以上ふくようしていない場合、再度少量からの服用となります。ご不明点等ございましたら、当院までご相談ください。

服用中にコーヒーを飲んでも問題ありませんか?

コーヒーなどカフェインが含まれているお飲み物は、クロザリルの効果に影響を及ぼすことがあります。お飲み物等に関しては、主治医と相談していただければと思います。

たばこは吸って問題ありませんか?

禁忌ではありませんが、治療に対して影響を来すことがあります。喫煙習慣のある方は、予め主治医までご相談ください。

他院を受診(入院)する場合に気をつけることはありますか?

クロザリルは、他の治療に影響することがあります。必ず担当の医師にクロザリルを服用していることをお伝えください。また、他院へ受診(入院)される際は、当院より紹介状(診療情報提供書)を作成し、お渡ししていただくことで、より適切な治療を行うことができます。まずは当院の主治医までご相談ください。

次回通院予定日に行けないのですが、どうしたら良いでしょうか?

当院までご連絡ください。次回通院に関して、日程のご相談をさせていただきます。

当院の治療実績

当院のこれまでのクロザピンの治療実績(導入実績)になります。
経験豊富な医師による治療を行って参ります。安心してご受診ください。

  • 入院の患者様
  • 外来の患者様
  • 代表番号 0480-23-6540代表番号 0480-23-6540
  • 地域連携室 0480-23-6848
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